水草の大敵はコケです。水草と同じ植物でありながら、水草よりも成長が早いのですから、一度増えだしたら、水草の勝ち目は薄いのです。まずは予防に努めましょう。
基本的に、コケには、褐色のもの、緑色の平面的なもの、房のような黒緑色のものなどがあります。
褐色のコケは、セットしたての水槽など、水質が安定せず、窒素分が多く、光が弱いときに多く発生します。拭けばすぐに取れるので、水質維持に努めながら、ふき取っていればいずれなくなるでしょう。どうしても減らないときは、魚の数やエサの量が多過ぎるのか、フィルターの処理能力が弱い、光量が少ないなど、水槽システムの欠陥を疑ってみてください。
緑色の平面的なコケは、いきなり増えることが多い反面、1〜2日水槽のライトをつけないでおくだけで、消えることがあります。光量が強すぎ、窒素分が多いときに発生します。
房のようなコケは、増殖するスピードはゆっくりなのですが、硬いものに根を張ったようにこびりつき、水草の葉に付くと、葉を破かないとはがれません。いくらとっても根からまた増えてくる厄介なコケです。対策としては、見えやすいコケなので、まず、水槽内に持ち込まない。そして、オトシンクルスを入れて、常に水槽内の表面を嘗め回して、付かないように予防するしかないでしょう。
毎日水草の葉を一枚一枚拭くわけにはいきませんから、ここで、力を借りるのが、オトシンクルスやヤマトヌマエビなど、もともとコケを食べている生き物達です。オトシンやヤマトヌマエビ以外にも、草食傾向が強く、コケを食べる魚やイシマキガイなどの貝類も多いのですが、そのほとんどが、コケよりおいしい人工飼料しか食べなくなったり、柔らかい水草の新芽を食害したりと、害のほうが多くなってしまうことが多いのです。また、同じエビでも、テナガエビやスジエビは肉食で、小さな魚は食べてしまうことさえありますから、気をつけましょう。
水草水槽では、うまく水草が繁茂していれば、植物の持つ浄化作用で、水質が安定するため、魚メインのアクアリウムほど、頻繁な水換えは必要なくなります。また、エビやオトシンクルスがメインの場合は、エサやりでさえ、ほんの少しですみます。
というわけで、一見、何の手間も要らないように見えますが、実際には、水草の成長スピードは驚くほど早く、常に観賞に適した姿に水草をカットする、トリミングが必要となり、忙しくなります。
水草には、その形態によって、茎があって上へ上へと伸びていく有茎種と、タンポポのように立ち上がる茎が無く根元から一枚一枚の葉を出して、放射状に株が大きくなっていくロゼット型があります。
有茎種は、ほうっておくと、茎がどんどん伸びてきますから、適当なところで、切り揃えて植え替えなければなりません。特に、水上に葉を出すタイプの水草は、水槽内の光や二酸化炭素が足りないと、早く水上に出ようとするため、伸びる速度は速くなって、節の間が間延びし、葉っぱは小さく、間延びした見苦しい姿になります。
トリミングの方法は、適当な長さのところで、節を残して切り揃えるだけです。
ロゼット型は、株元から葉がどんどん出てくるだけなので、有茎種ほどトリミングは必要ありません。
地下茎が伸びて、どんどん横に子株を出して増えるタイプは、底一面、緑の絨毯のようになって美しいのですが、適当なところで地下茎を切って、伸びるのをとめないと、他の水草の領域にまで入り込み、根が絡んで成長を阻害することがあります。 |