「家の子は、あまり賢くなくて、飼い主の言うことをきいてくれない」こんな不満をもらす飼い主がいますが、ほとんどの場合、犬に問題があるのではなく、飼い主の側に問題があります。子犬のうちは、とにかくかわいいので、ついつい甘やかして育ててしまいます。そうすることは人情ですから仕方がありません。しかし、生後6か月までは、特に心を鬼にするくらいの気持ちで、しっかりと、しつけの基礎トレーニングをしておく必要があります。
これは決して難しいことではなく、「まて」や「おすわり」、「ふせ」、「ダメ」など、基本的なしつけの基礎に慣らしておくということです。生後6か月までに、すべてをマスターしろということではなく、飼い主のコマンドを聞き分けてさえいれば、かならず犬の意識の中に「しつけ」は入っていますから、あとは少しずつ完成度を高めていけばいいということです。
この基礎ができていないと、生後6か月をすぎてから一生懸命、しつけのトレーニングを行っても、我がままが身についた犬は、そうそう言うことを聞きません。また、甘やかして、犬のペースで生活していると、犬は、自分がこの家で一番だと思いこみ、飼い主の言うことを、まったく聞かない犬になってしまいます。
家族の一員だと言っても、やはりペットですから、あくまでも飼い主家族のペースで生活させることが大切です。
たとえば毎日の食事でも、きっちり決めた時間に与えていると、犬は、その時間になるとワンワン吠えて要求してきます。あまりにもうるさい場合は、近所迷惑にもなります。その犬を静かにさせようと、飼い主は慌てて食事を与えてしまいますが、これは、すでに犬のペースに引き込まれています。
飼い主だっていろいろと用事があるわけですから、毎日の食事は、きっちりと時間を決めず、飼い主のペースでアバウトに与えるようにします。ただし、昨日は朝だけ与えて、今日は夕方だけ、というようではいけません。許容されるのは、多少の時間のズレ程度です。毎日2回の食事なら、それを変えてはいけません。犬の健康面に問題が出てきてしまいます。
また、散歩も同じです。毎日朝は8時、夕方は5時というように決めず、飼い主のペースで行いましょう。例えば雨が降っていたら「今日は雨だからなしね」などと言い聞かせるようにして、散歩に行かないのもいいでしょう。飼い主の気分によっては、その日は3回散歩に行くというように、あくまでも飼い主中心で飼育することで、かえって犬は、飼い主の行動を注視するようになります。それは、しつけのトレーニングに重要なアイコンタクトを、しっかりとしているということです。
さらに、しつけは楽しいと思わせることが大切です。食事のときやボール遊びなどをさせながら「まて」や「よし」、「こい」などを教えることで、犬も飽きずにトレーニングに応じるようになります。
重要なポイントとして、
飼い主家族のペースで飼育する。
成犬になる前、生後6か月までに、しつけの基礎をトレーニングする。
飼い主が根負けしないように、優秀な犬を育てましょう。